東京唯物論研究会TOP

 

 東京唯物論研究会は、唯物論哲学の理論的な研究とともに、生活、文化、科学における現実の諸問題を唯物論的な観点から解明することを目指して活動している、研究団体です。本研究会は一九五九年の創設以来六十五年の歴史をもっていて、戸坂潤らが創設し、軍国主義と侵略主義に抵抗する研究者たちの拠り所であった戦前の唯物論研究会の伝統と精神を引き継いでいます。

 

 本会が取り組む課題は、マルクス主義を中心とする思想研究を深化・発展させることにとどまらず、内外の新しい理論傾向や思想的課題の検討をおこない、唯物論研究の豊饒化を図ることにあります。また、基礎的・古典的な諸理論から真摯に学び、その批判的検討をおこなう一方で、現実が提起する様々な問題と積極的に向き合い、実践的かつ創造的な研究を展開することを目指しています。毎年刊行される機関誌『唯物論』誌上や、シンポジウム講演会においても、つねに時宜にかなったテーマをとりあげ、現実の諸問題との取り組みをつづけています。

 

 本会には、北海道から沖縄にいたるまで、幅広い地域に住む百余名の会員が所属しています。哲学・思想史を中心とした多彩な分野を研究する専門家ばかりでなく、勤労者や市民に開かれた研究会であることを旨としています。会の内部に自足することなく、様々な領域の研究者、そして現実の諸問題の解決に取り組んでいる内外の思想家や活動家との交流や協力も模索しています。その際、権威や格式にとらわれず、自由闊達な討論ができる貴重な場として広く認められることを目指しています。年に四回開催される定例研究会、随時開催される現代思想読書会などの諸活動、そして年に二回発行される会報《燈をともせ》を通して、こうした目標が実現されていると思います。

 

 また、隔年で「移動研究会」をおこない、東北地方や中部地方の会員や研究者と直接交流する機会を設けてきました。二〇一二年には、東日本大震災の被災地である宮城県南三陸町で一泊二日の移動研究会を開催しました。国際的な研究交流も視野に入れ、二〇〇五年には、中国最大の研究団体である弁証唯物主義研究会を中心とする研究者たちと、北京で二日間にわたる共同研究会を開催しました。このときは、清華大学、中国共産党付属中央編訳局でも本会会員が研究成果を発表し、好評を博しています。

 

 本会は、全国組織である唯物論研究協会の活動を支えるとともに、各地域で独立して活動する民主的・批判的な研究団体との交流もおこなっています。東京唯物論研究会は、これらの団体とともに、唯物論研究のさらなる充実と発展に寄与するため、活動をつづけています。

 

                             (東京唯物論研究会事務局)